小児水頭症における髄液短絡管機能不全発生要因の解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
小児発症水頭症患者でシャント再建術を行なった315例について,発症年齢・再建時年齢・原疾患・シャントシステム・機能不全の原因・シャント作動期間等の検定を行なった。患者側の要因としては,初回シャント群は再建シャント群より有意に作動期間が長かった(P<0.05)。原疾患との関連は腫瘍による水頭症例では作動期聞が短く(P<0.005),二分脊椎例では有意に長かった(P<0.05)。機能不全を起こした原因として,脳室側カテーテル閉塞120例,腹腔側(心房側)の原因163例,その他32例と腹腔側あるいは心房側の原因が多かった。腹腔側の原因としては,カテーテルの閉塞・断裂・屈曲・接続部での脱落・成長による短縮・腹腔臓器内裂孔等を認めた。脳室側カテーテル閉塞例では,カテーテル先端が側脳室前角にある例が有意に少なかった(P<0.05)。機能不全の原因として明らかに手術時の技術的要因によるものは33例(10.5%)であった。そのうち最も多かったのは穿刺の失敗であった(70%)。シャント機能不全を完全に予防することは不可能であるが,手術技術の向上・シャントシステムの改良により機能不全の発生頻度は低下すると恩われる。
- 神戸大学の論文
著者
関連論文
- 阪神・淡路大震災における脳神経外科疾患 : 兵庫県脳神経外科多施設共同調査
- 実験的脊髄空洞症における髄液短絡術による治療モデル
- 進行性側彎を呈した延髄・脊髄空洞症および脊髄係留症候群を合併したChiari II型奇形に対する1手術例
- 早期に自然整復された陥没骨折の1幼児例
- 小児水頭症における髄液短絡管機能不全発生要因の解析
- 脂肪抑制MRIとdynamic MRIによる頭蓋底外科手術後評価
- 脳室拡大を伴わない髄液短絡管機能不全の診断上の問題点
- ヘルペス脊髄炎の1例 : MRI所見について
- 外傷性脳損傷の病態 (脳外傷による障害の特徴とその対応)
- 脊髄脊椎外科における術中超音波法の有用性
- 脳神経外科手術における術中超音波断層法の経験
- 新生児頭皮動静脈奇形の1例 : Transcranial Doppler (TCD) による観察