不完全観測の下でのマルコフ的劣化システムの最適発注・取替政策 : II
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概要
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離散時間マルコフ的劣化システムの不完全観測の下での最適発注・取替問題を議論する。システムは、0:新品、1、……、N-1劣化、N:故障、のN+1個の状態をとり、これらは状態Nを吸収状態とする推移確率p_<ij>をもつマルコフ過程をなすとする。さらに、システムは常時観測されているが、観測結果は必ずしもシステムの状態と一致しない状況を考える。観測結果の集合は簡単化のためシステムの状態集合で同じであるとし、観測の不完全さは、システムが状態iにあるとき観測結果がθである確率r_<iθ>で規定されるものとする。このようなシステムに対し、取替えのためのスペアシステムは、ある調達時間を伴なう注文によってのみ手に入るとしたとき、我々は、注文していなくてスペアがないときは、決定0:注文しない、決定1:注文する、のいずれかを選び、スペアがあるときは、決定2:取替えずに動作を続ける、決定3:取替える、のいずれかを選ぶ。問題は、総期待割引費用を最小にする意味での最適政策の構造を調べることである、、この決定問題は、Partially Observable Markov Decision Process の理論を用い、[numerical formula]とすると、状態空間{(x、y)}、決定空間{0、1、2、3}を時つマルコフ決定過程として定式化される。システムの物理的、経済的側面からのいくつかの妥当な条件の下で、ある単調な構造を持つ最適政策の存在が示される。すなわち、D(x、y)で状態(x、y)に対する最適な決定を示し、集合{x}の上で半順序<(TP)を、x<x'(TP):すべてのi<jに対し、x'_jx_i-x'_ix_j≧0で定義すると、x<x'(TP)ならば、D(x、0)≦D(x'、0)、D(x、∞)≦D(x'、∞)となる。最後に2、3の特別な場合、すなわち、観測がシステムの状態に関する何ららの情報も与えない場合、観測が完全な場合、などについて考察する。
- 社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文
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