インスリン依存型糖尿病(IDDM)の発症予防に関する研究
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概要
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接着分子は数多くの重要な免疫応答を担っていることから,種々の自己免疫疾患の病因にも関与していることが窺われる。しかしながら,自己免疫疾患であるインスリン依存型糖尿病(IDDM)の発症機構におけるその役割はよく分かつていない。我々は接着分子のleukocyte funchon-associated antigen-1 (LFA-1)とそのcounter-receptorであるintercellular adhesion molecule-1 CICAM-1)がヒトIDDMのモデル動物であるnonobesediabetic (NOD)マウスの自己免疫性糖尿病の進展に関与していること示唆する幾つかの知見を得た。免疫組織学的検索において,NODマウス膵のラ島浸潤単核細胞および血管内皮細胞にICAM-1分子の高発現を認めた。In vivoにおいて抗LFA-1(CD11a)あるいは抗ICAM-1抗体を5週齢より30週齢(あるいは12週齢)まで投与すると,単独あるいは両者同時投与の如何にかかわらず,膵ラ島炎及び糖尿病発症を著明に抑制したが,サイクロフォスファマイド(CY)誘発糖尿病は抑制し得なかった。糖尿病発症NODマウス膵ラ島由来単核細胞を用いた若齢NODマウスへの膵ラ島炎及び糖尿病の受け身移入は,両抗体をrecipientに投与することにより完全に阻止された。更に,膵ラ島にリンパ球浸潤が始まる以前の2-4週齢のNODマウスに両抗体を少量短期間投与することにより,膵ラ島炎及び糖尿病の発症を完全に抑制し得た。以上の結果は、 LFA-1/ICAM-1 pathwayは膵ラ島炎形成の早期に重要な免疫学的役割を果たしており,更にLFA-1/ICAM-1分子間作用を阻止することはNODマウス自己免疫性糖尿病の発症を強力に予防する効果があることを示唆している。
- 神戸大学の論文
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