安楽死と疼痛緩和医療 : オランダ「要請による生命の終結および自殺幇助(審査手続き)法」施行を機に考える
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概要
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オランダでは、2002年4月1日に、「要請による生命の終結および自殺幇助(審査手続き)法」が施行された。本法は国家の法としては世界初の安楽死法となるものである。オランダは自立して生活するための社会福祉も充実しており、弱者を切り捨てない平等主義が行き渡っている。その社会背景の中で、判例の積み重ねによって安楽死を許容するための基準が形成された。1993年には遺体埋葬法の一部が改正され、安楽死への厳格なガイドラインとなっていたが、本法はさらに刑法と遺体埋葬法を改正し、その要件を満たした安楽死を実施した医師を刑事訴追しないこととした。他方、1994年の英国の「医療の倫理特別委員会報告書」は、オランダの疼痛緩和医療が英国ほど進んでいないこと、また厳格な要件のもとであるにせよ安楽死許容の方向をとっていたことが、疼痛緩和医療を更に進めるための部分的障壁となっていることを指摘している。本論文はオランダの安楽死について疼痛緩和医療との関連のもとで考察するものである。
- 2002-11-30