ニカメイチュウの休眠誘起に及ぼす日長および温度の影響(1) : ニカメイチュウ発生の地域性に関する研究第1報

概要

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1) ニカメイチュウ発生の地域的な変動機構を知ろうとして,休眠の誘起におよぼす日長および温度の影響を調査した。2) 供試材料は秋田県大曲市産虫で,主として芽出しイネを飼料として飼育して調査を行なった。3) 卵期の日長や温度は休眠の誘起や回避に対して幼虫期の日長条件より優先することはないと考えられる。4) 休眠誘起の主因は幼虫期における日長条件で,長日は休眠回避に,短日は休眠誘起に働く。日長に対する感受性は幼虫発育の全期間にわたるものと考えられるが,蛹化直前虫や老熟休眠虫では消失あるいは鈍化する傾向がみられる。5) 休眠誘起の反応は可逆的であり,幼虫発育の前∼中期には的確に現われる。反応は処理後10∼15日頃から現われ始めるが,短日反応はやや早目に現われる傾向がある。6) 休眠誘起の臨界日長は温度によって変化し,高温は休眠回避に,低温は休眠誘起の方向に働らくものと考えられる。7) 日長が減少する条件下で,ふ化時を基準にした休眠誘起の臨界日長は,不変日長条件下のそれよりも高い値を示すものと考えられる。8) 日長時間は可照時間に薄明・薄暮を加算して計算する必要があり,この加算値は0.5時間以上と推定される。
1969-06-25