耳鼻咽喉科領域の一側性心因性身体症状のlateralityについて
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概要
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一側性心因性身体症状は, 左側に多く生じることが報告されている。この論文の目的は機能の左右差が感じられない頭頸部領域の一側性心因性身体症状を有する症例についての調査報告である。東大分院と浜松医大病院の耳鼻咽喉科外来を受診し、神経症あるいは精神疾患と診断された全症例の病歴を検討し、頭頸部領域に一側性心因身体症状があり器質的所見を認めない40例を検討の対象とした。症状の分布の確立は二項分布による検定を用いて評価した。結果は以下のとおりである。(1)側 : 40例中29例が左側に症状があり, 11例で右側に症状があった(p<0.007)。(2)性 : 16例の男性中, 14例は左側に症状があり、2例が右側に症状があった(p<0.005)。24例の女性中15例は左側に症状があり, 9例は右側に症状があった。(3)年齢 : 60歳以上を除くすべての年齢群で, 左側に症状のある例が多かった。(4)部位 : のどに症状のある症例を除くすべての部位で、左側に症状のある例が多かった。(5)診断 : 分裂病圏の疾患の10例中7例が左側に症状があり、3例が右側に症状があった。26例の神経症の症例中20例は左側に症状があり、6例は右側に症状があった(p<0.01)。日本人を対象として, 頭頸部の一側性心因性身体症状は, 左に多く生じることを明らかにした。
- 日本心身医学会の論文
- 1983-04-01
著者
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