Bacillus thuringiensis の結晶性毒素のカイコ中腸上皮組織に及ぼす影響
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概要
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Bacillus thuringiensisが産生する結晶性毒素の作用機構に関する研究の一環として, in vitroの系において毒素がカイコ幼虫の中腸上皮細胞に直接的におよぼす影響について調べる目的で, 毒素投与後の細胞の形態的変化を観察した。実験には, 性状の異なる3系統の菌株(強毒株, ssp. dendrolimus T84A1;弱毒株, ssp. sotto AF 101;無毒株, ssp. israelensis)を使用した。1) カイコ消化液で処理したT84A1の毒素を投与すると, 細胞は著しく膨潤し破裂した。毒素の投与量を少なくすると, 細胞の形態的変化も少なくなった。2) AF101の毒素の投与では, 細胞はT84A1の場合よりも少ない形態的変化を示した。3) ssp. israelensisの毒素は, 細胞に形態的変化をもたらさなかった。4) アルカリ溶解した毒素および未処理の結晶性毒素は, 細胞に形態的変化をもたらさなかった。以上のことから, カイコ消化液で分解された毒素は, カイコ幼虫の中腸上皮細胞に直接的に作用することが明らかとなった。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1983-05-25
著者
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