ミナミネグサレセンチュウの卵および幼虫の発育
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概要
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ミナミネグサレセンチュウPratylenchus coffeae (ZIMMERMANN, 1898)の胚子発育と幼虫発育を調査し,ステージの区分およびその識別のめやすを与え,生殖器の発育,卵期間,1世代所要日数を示した。1 夏季(29∼33°C),雌の子宮内にある卵あるいは産下された卵の発育ステージは,2細胞期のものが最も多く,単細胞期,3細胞期のものがこれに次いだ。2 胚子発育の過程を追跡し,各ステージの胚子を第1図に示した。3 この線虫は卵殻内で1度脱皮することを確認した。4 30°C(好適温度)の井戸水の中における卵期間は6日∼8日であった。4日目に蝌蚪期に達する。5 幼虫の発育をバレイショ塊茎中でFlap methodによって追跡した。この線虫は,孵化後3回脱皮して成虫となる。6 脱皮中の線虫の体長(第2表),生殖器原基の発育様相を調査し(第3表,第2図),それを基準として任意に選んだ幼虫の発育ステージを判定し,各期幼虫におけるa, b, c,口針長,排泄孔の位置(体長率)を測定算出した(第4表)。7 上記を合わせて各ステージの具体的な記載を行ない,生態調査で可能な程度の幼虫の発育ステージの識別法を示した(第5表)。8 この線虫の性の区別すなわち内部生殖器の構造の雌雄によるちがいは,幼虫第4期(pre-adult)までつきとめた。第4期も進むと雌雄は外観から区別できるようになる。9 この線虫の幼虫をバレイショ塊茎の病斑部より分離して水中に放置すると,前のステージの脱皮殼を2枚つけたまま成虫になることがある。10 この線虫のバレイショ塊茎中における1世代経過所要日数は,好適温度(25∼30°C)の場合1ヵ月足らずである。個体によるふれが大きく,幼虫の各期についての経過所要日数は定め難いが,孵化幼虫はほぼ2週間で成虫となり始め,孵化後3週間では抱卵がみられた。
- 1964-03-25
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