タバコシバンムシの生態学的研究 : II.パン粉を餌に用いた場合の発育について
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概要
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タバコシバンムシの発育に及ぼす温度の影響について,パン粉を餌に用いて調べ,昆虫飼料Iの結果と比較考察した。実験は20∼30°Cまでの5温度区で,湿度70%,照明16L-8Dの一定条件下で,個体別飼育の方法で行った。1) 全発育日数は30°Cで平均57日,27.5°Cで63日,25°Cで81日,22.5°Cで94日,20°Cで217日であった。低温では発育速度は低下し,死亡率が増加した。2) 全発育期の発育速度の回帰直線はY=0.0013X-0.0192となり,発育零点は15°C,計算によって求めた発育有効積算温度は781.9日度であった。3) 幼虫の脱皮回数は低温になるほど多くなり,22.5∼30°Cでは4回,20°Cでは5回のものが最も多く出現した。4) 終齢幼虫の頭幅は,高温よりも低温で,より大きくなり,25∼22.5°Cで最大となった。幼虫頭幅の成長比は多齢型では低くなり,成長比の平均は4齢型1.54, 5齢型1.43, 6齢型1.34であった。5) 営繭率は平均93.7%と高く,蛹の羽化率も平均98.0%と高い値を示した。6) 成虫生存日数は低温で長くなり,20°Cでは最大136日も生存した。また,雄より雌のほうが長命であった。30°Cの高温でもその差は約10日であった。7) 昆虫飼料Iに比較すると,パン粉の場合は発育速度がかなり遅く,頭幅成長比も低いが,営繭率,蛹の羽化率が昆虫飼料Iに比して非常に高かった。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1984-11-25
著者
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