稲のウンカ類およびツマグロヨコバイの卵巣発育と交尾との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヒメトビウンカ,セジロウンカ,トビイロウンカおよびツマグロヨコバイの卵巣発育と交尾との関係を,室内飼育虫の卵巣解剖によって調査した。1. ウンカ類はツマグロヨコバイよりも卵巣発育速度が速く,羽化後3日目ごろから成熟卵蔵卵個体が出現した。ツマグロヨコバイでは,羽化後6∼7日目になって成熟卵蔵卵個体が出現しはじめた。しかし卵巣発育の個体間差がどの種でも非常に大きく,各種とも調査期間の最後まで,卵巣未発育の個体が10%以上みられた。2. ウンカ類では羽化後3日目ごろから交尾が行われ羽化4∼5日後には大半の個体が交尾を完了した。しかし,調査期間中つねに10%以上の個体が未交尾のままであった。これに対して,ツマグロヨコバイは羽化4日後から交尾個体が出現し,その後交尾個体は急増し,羽化後9日以降はすべての個体が交尾を完了していた。3. ツマグロヨコバイでは,交尾は卵巣未発育の個体でも,かなりの率で行われたが,ウンカ類では卵巣が発育して成熟卵をもった個体でないと,ほとんど交尾は行われなかった。従って,ツマグロヨコバイは卵巣発育と交尾との関係で,生理,生態的にウンカ類と,かなりはっきりと相違していると考えられた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1975-09-25
著者
関連論文
- 那須地方におけるリンゴの訪花昆虫に関する研究
- 予察灯で採集したウンカ・ヨコバイ類の卵巣発達程度と交尾個体の割合
- 稲のウンカ類およびツマグロヨコバイの卵巣発育と交尾との関係
- ニカメイチュウ越冬幼虫の加温飼育によって得られた寄生蜂について