カイコの幼虫脱皮期における炭水化物の変動とくに多糖類の合成および分解
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概要
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カイコの4齢幼虫脱皮期における炭水化物の変動を多糖類の合成および分解との関連において追求した。1. 脱皮期間中の体壁のグリコーゲン量は新外皮形成開始時まで増加し,その後脱皮直後まで急減する。一方血液トレハロースの増減のパターンは,グリコーゲンと比較して,その増減の時期は異なっているが,傾向はほぼ一致している。血液グルコースおよびヘキソサミン量はこの期間中常に低く,一定である。2. 体壁のキチン量は新外皮形成開始12時間まで減少し,その後脱皮直後まで急増する。一方,体壁のヘキソサミン量は脱皮直前まで緩慢に増加する。体壁キチナーゼ活性は,脱皮期に入ると急増し,その期間中常に高い値を示した。この酵素活性の変動はキチン量の減少およびヘキソサミン量の増加と一致している。3. 14C-グルコースを投与し,その後の幼虫脱皮期間中の炭酸ガス,単糖類および多糖類の放射能を測定した結果,4齢の前半期にグリコーゲンとして蓄積された炭水化物は脱皮期の後期に,グリコーゲン→トレハロース→グルコース→炭酸ガスの経路を経て代謝されることが知られた。また,キチンの放射能が新外皮形成時に2倍になることから,旧外皮の分解産物よりもグリコーゲン由来のグルコースが新外皮形成に利用されるものと思考される。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1974-12-25
著者
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