ハスモンヨトウの交尾行動に及ぼす処女雌トラップの影響
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概要
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フェロモンによる配偶行動阻害効果を評価する基礎資料を得るために,処女雌トラップを用いてトラップ群からの距離およびトラップで囲んだ面積の大小とつなぎ雌の交尾率との関係をしらべ,交尾に対するトラップの阻害効果を検討した。(1) 処女雌トラップ群からの距離とつなぎ雌の交尾率との関係は,野外密度の高い8, 9月においては,トラップ群からの距離に関係なく,ほとんどが90%以上の交尾雌率を示し,トラップの影響はみられなかった。しかし,野外密度の低い5, 6, 11月においては,トラップ群に近いほど交尾雌率は低下し,トラップによって交尾が阻害されることがわかった。ただし,トラップによって交尾が阻害される範囲はあまり広くなかった。(2) 処女雌トラップで囲んだ面積の大小とつなぎ雌の交尾率との関係は,一般に囲んだ面積が小さいほど処女雌トラップによる交尾阻害効果が高まることが認められた。この場合前夜半の平均気温とトラップの交尾阻害効果とは関係があり,15°C付近を境として高温側では,配偶行動が可能な時間帯が長く,その行動が活発なために,単純に4台で囲んだトラップの有効性は,15°C以下の場合より劣る傾向があった。(3) 以上2試験の結果から,5, 6, 11月などの低密度下もしくは,配偶行動がある程度抑制される温度条件下,すなわち前夜半の平均気温が約15°C以下の条件下では,フェロモントラップによる交尾阻害効果が期待できると考えられた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1974-03-25
著者
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