松くい虫駆除薬剤の研究 : 第1報 γ-BHC, EDB混合剤の松くい虫駆除効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1). 松くい虫の防除事業は,従来主として被害木の伐倒,剥皮,焼殺法によって実施されていた。本試験は伐倒した被害木に直接薬剤散布を行なうことにより,すぐれた駆除効果をあげうるような薬剤を開発する目的で,千葉県および神奈川県下に試験地を設置し,クロマツおよびアカマツに寄生加害する松くい虫を対象に,一連の駆除試験を実施した。2). 薬剤は殺虫剤の連合作用の理論から吟味した«γ-BHC+EDB+トリクロロエチレン»,および«ダイアジノン+γ-BHC+EDB+トリクロロエチレン»の混合油・乳剤を中心に数種の混合剤を供試し,調査は薬剤散布後18または22日目(一部1, 3ヵ月後)に行なった。クロマツ,アカマツ材に寄生していたせん孔虫の種類はCryphalus fulvus, Ips angulatus, Myelophilus piniperda, Shirahoshizo rufescens, Pissodes obscurus Sipalus hypocrita, Monochamus alternatus, Criocephalus rusticusなどであった。3). 殺虫効果は,供試薬剤群中で«ダイアジノン+γ-BHC+EDB混合剤»および«γ-BHC+EDB混合剤»がもっとも有効であった。樹幹,集積枝条,根株処理に対して油剤は10倍,400∼600cc/m2,乳剤は10∼20倍,500∼600cc/m2散布で高い実用性が認められた。また薬剤形態間の殺虫効果は一般に油剤>乳剤であった。4). 松くい虫の薬剤に対する種類別特異性は,感受性の高いものから配列するとC. fulvus, I. angulatus, M. alternatus, S. rufescensの順序であった。冬季散布の薬剤の効果はpositive temperature coefficientの値を示したが,実用的効果には問題がなかった。また樹皮の厚さと殺虫効果との間には一定の関係が観察されなかった。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1964-12-25
著者
-
酒井 清六
八洲化工研
-
野上 寿
八洲化学研
-
米林 俵三
千葉林試
-
合田 昌義
八洲化学工業株式会社研究所
-
酒井 清六
八洲化学工業株式会社研究所
-
松石 一樹
八洲化学研
-
野上 寿
八洲化学工業株式会社研究所
-
松石 一樹
八洲化学工業株式会社研究所
-
米林 俵三
千葉県林業試験場
-
酒井 清六
大東文化大学・生命科学研究室・埼玉県東松山市高校
関連論文
- 228 殺虫剤の連合作用理論の一考察(殺虫剤毒物学, 昭和41年度日本農学会大会分科会)
- 生物試験に関与する環境要因(II 殺虫剤の生物検定, 昭和37年度日本農学会大会分科会)
- 107. 殺虫剤の連合作用に関する昆虫毒物学的研究 : 6.N個の殺虫剤の組合わせによる連合作用(昭和31年度日本農学会大会専門部会)
- A20 革翅目昆虫の日本未記録種,属名変更および植物保護との関係(分類学・形態学)
- F21 農林害益虫固定分類の計量化および自動化VII. : 形態解析(分類・形態)
- D210 農林害益虫同定分類の計量化および自動化II(モデル理論)
- 111 農林害益虫同定分類の計量化および自動化方法論(一般講演)
- γ-BHCとEDBの混合剤の連合作用について
- 354 空中散布を含む松くい虫の動的防除(薬剤防除・有害動物学, 昭和41年度日本農学会大会分科会)
- 351 殺ダニ剤防除効果評価のための増加係数K, rの適用(薬剤防除・有害動物学, 昭和41年度日本農学会大会分科会)
- 211 煙霧法による森林害虫の防除 (1)(昭和40年度日本農学会大会分科会)
- 松くい虫駆除薬剤の研究 : 第1報 γ-BHC, EDB混合剤の松くい虫駆除効果
- 126 松くい虫類動的防除の一試案(昭和39年度日本農学会大会分科会)
- 125 松くい虫類駆除剤の効果におよぼす稀釈液相の影響について(昭和39年度日本農学会大会分科会)
- 42 シアノチオンおよび関連化合物の殺虫性, 殺虫剤の開発に関する昆虫毒物学的研究I(昭和36年度日本農学会大会分科会)
- 36 木材せん孔虫駆除剤の基礎試験, 殺虫剤の開発に関する昆虫毒物学的研究II(昭和36年度日本農学会大会分科会)
- 105. 有機燐殺虫剤の背脈管自動能抑制作用とコリンエステラーゼ阻害作用(昭和30年度日本農学会大会分科会)
- 生物試験に関与する環境要因(II 殺虫剤の生物試験検定)
- 殺虫剤の連合作用に関する昆虫毒物学的研究