越冬期におけるニカメイチュウの食性
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概要
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1)ニカメイチュウは秋の稲の刈取後みかけ上の越冬生活にはいるが, その後1月初旬までの期間と, 3月中旬以後6月中旬の蛹化期までは, 稲わらの中にあってその組織をかじる。この活動は気温の高いほど盛んである。1月初旬ないし3月中旬の期間はこのような個体の数も少なく, またその数は必ずしも気温の高低に関係しない。2)この行動は単なる「物をかじる遊戯本能」ではなく, 食片は消化管の内容物中に, その残物は糞の中に証明される。また胃液のアミラーゼ活動や胃壁細胞の分泌構造からみて, これは摂食活動であると考えられる。3)稲の刈取後1月中旬までの摂食は越冬準備のための栄養の蓄積, 3月中旬以後蛹化前までの摂食は蛹化準備のための物質代謝水の生産に関係するものではないかと思われる。4)摂食活動のみの見地からすれば, この幼虫の越冬休眠は, 少なくとも岐阜地方では, 1月初旬〜3月中旬の期間にあたっているように思われる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1958-06-01
著者
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