ナシを加害する鳥取産ナミハダニとカンザワハダニの休眠誘起条件と休眠雌出現時期並びに越冬離脱時期
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概要
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鳥取産ナシ寄生のナミハダニとカンザワハダニについて休眠の実態を調査した。(1) 両種ハダニの16°Cにおける休眠誘起の臨界日長は12hr前後であった。20°C以上の高温では休眠が阻止される傾向がみられた。(2) 両種ハダニは10月上旬には約半数が休眠雌であった。これらの雌の育った光周感応期の日長時間は12∼12.5hrであった。ナミハダニは11月上旬,カンザワハダニは11月下旬にすべて休眠雌となり,後者の休眠雌の出現は緩慢であった。(3) ナシ樹主幹部へとりつけた誘殺バンドへの越冬雌の侵入は,ナミハダニでは10月中旬,カンザワハダニでは10月上旬がピークとなった。越冬場所は前者がナシ樹皮間隙,後者がナシ樹上(誘引なわ,樹皮間隙),落葉などであった。(4) 両種ハダニ休眠雌の越冬数は秋季のナシ葉上のハダニ密度に依存しており,9月下旬の葉当たり密度あるいは9∼10月の発生量から越冬数を予察することが可能である。(5) 両種ハダニ共休眠覚醒の時期は早く,12月下旬までに60∼90%が休眠から離脱し,特にカンザワハダニの休眠は浅いことがうかがえた。11月中旬から約4°Cで低温処理したところカンザワハダニは約30日,ナミハダニは約40日で半数以上のものが休眠から離脱してきた。(6) 越冬場所からの離脱は2月下旬より3月上旬まで直線的に増加し,カンザワハダニは3月下旬まで,ナミハダニは4月中旬に離脱を完了した。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1980-08-25
著者
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