臼歯咬合支持点の追加が咬合力及び咀嚼筋活動に与える影響
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概要
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本研究の目的は,補綴処置における咬合支持の評価を行う際に基準となる咬合力の重心位置を筋活動の観点から検討することであった.下顎スプリント上で実験的咬合接触を付与し,そのスプリントを前歯部ブロックと左右の各小臼歯及び大臼歯ブロックの9ピースに分割した.8名の健常有歯顎者より最大咬みしめ時の咬合力と両側の咬筋及び側頭筋前部より筋電図の記録を採取した.小臼歯及び大臼歯ブロックを着脱することにより,遊離端欠損状態を維持しながら咬合支持点を徐々に増加させ,15種類の咬合状態における咬合力重心の位置,咬合力,筋活動の関係を調査し,以下のような結論を得た.1.全ての咬合状態間で,咬合力重心の位置は統計的に有意差を示し,咬合力重心によって咬合状態の違いが明確に識別できた.よって,咬合力重心は咬合支持の評価に有効な指標であった.2.咬合力および筋活動は咬合支持点の増加に伴って徐々に増加した.全てのスプリント片を装着した咬 合状態と比較すると,咬合力では有意差が存在しなかったのは片側の第二大臼歯片が装着されていない時のみであったのに対し,筋活動では両側の第二小臼歯まで咬合接触が存在すると有意差が存在しなかった.このことから,筋活動は支持点の数よりも分布に影響された.3.補綴処置における咬合支持の評価基準となる咬合力重心位置の範囲は楕円形であった.その中心は,前後的にはほぼ第二小臼歯の中央,左右的にはほぼ口蓋正中縫線にあった.その楕円の範囲は前後的には第一小臼歯の近心接触点から第一大日歯の遠心接触点まで,左右的な幅は側切歯の中央までとなった.
- 日本顎口腔機能学会の論文
- 2003-04-25
著者
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田中 泰弘
東京医科歯科大学歯学部顎顔面機能統合評価学講座
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篠ヶ谷 龍哉
東京医科歯科大学歯学部顎顔面機能統合評価学講座
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篠ヶ谷 龍哉
東京医科歯科大学医歯学総合研究科摂食機能保存学分野
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篠ヶ谷 龍哉
東京医科歯科大学歯学部附属病院 回復系診療科義歯外来
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篠ヶ谷 龍哉
東京医科歯科大学歯学部付属病院回復系診療科
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田中 泰弘
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
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