脱施設化の思想的系譜と日本での展開(<特集>脱施設化とインクルージョン社会)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脱施設化の具体化にあたっては各国ごとに多様な手法がとられてきた.さらに施設から出たあとに提供される地域ケアの理念や内容に関しても,各国間で大きな差異が生じている.知的障害者福祉は,放置→施設化→脱施設化の流れで発展してきた.これを歴史の発展という視点からとらえるべきである.脱施設化は,施設化を歴史上の失敗として全面否定して放置の時代への逆行をめざすのであってはならない.日本における実践に際しては,北欧とアメリカ合衆国の差異を正確に踏まえ,とりわけ合衆国に見られる新自由主義的福祉施策との融合について注意を喚起することが重要である.脱施設化は自国の福祉を人権保障の観点から総括し,障害者一人ひとりの人間らしい暮らしを保障する立場から,施策の抜本的改善を図る取り組みなのである.
- 全国障害者問題研究会の論文