マウス内耳発生におけるTUNEL陽性死細胞の形態学的観察(第二報) : 微細構造による細胞死分類について
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概要
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胎生期マウスの内耳に出現する死細胞にはTdT-mediated dUTP nick end-labeling (以下TUNEL)光顕レベルでアポトーシス細胞死(ACD)と非アポトーシス細胞死(NACD)を示すものが存在し,内耳全体の総死細胞数に対して前者は約90%,後者は約10%発現する.cis-diammine-dichloroplatinum(以下CDDP)負荷によって,総死細胞数に著変なくACDが約70%,NACDが約30%となり,NACDを示す死細胞の発現が増加することを見出し,前報に報告した(川崎医学会誌28(4) : 287-296,2002).本研究の目的は光顕的にTUNEL陽性死細胞が確認された切片を再包埋して電顕観察し,胎生期マウス内耳におけるACD, NACDについてその超微形態的特徴を明らかにすることである.続いて内耳全体を可及的に電顕観察することによってACD, NACDを示す死細胞に対する貧食処理様式,核正常であるためTUNEL法で検出不可能な死細胞存在の有無についても検討した.これらの結果から,ACDを示す死細胞はClarkeの分類によるtype1死細胞すなわちアポトーシスによる死細胞であり,NACDを示す死細胞はtype2死細胞すなわち自己貧食による死細胞で,さらにtype1死細胞は隣接細胞に貧食処理されていた.また,これらはCDDP負荷によっても変化しないことが明らかとなった.
- 川崎医科大学の論文
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