教師のバーンアウト傾向と教職生活意識との関係
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概要
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本論文ではバーンアウトした教師としていない教師ではバーンアウト状況でどのようなイメージや考えを待っているのかという認知を調べることを目的とした。つまり,教師のバーンアウトを,教職生活に関する主観的な認知とその個人のもつ認知構造を関係づけることにより,明確にしようとしたものである。バーンアウトの有無の判断を捉えるためバーンアウト尺度を使用し,バーンアウト状況での個人の認知を捉える方法としては半構造化面接をした。そして,現職教師32名のうち該当する18名をバーンアウト群と健常群の2群に分け,面群の意識の違い・認知構造の違いを検討した。その結果,面群とも共通の意識を多く含むものの次の点で違いが見られた。バーンアウト傾向群では「何度も同じ指導をしなくてはいけないということに関して,生徒をネガテイブに評価し怒りを感じているが,内面ではそのことに葛藤を感じていて,自己否定している。そういった日々の葛藤の蓄積を長期間抱えているとバーンアウト傾向へと結びつく」ということが示唆された。また,健常群では,「根気よく生徒に関わり続けるという信念に基づき,疲弊しそうな状況では今は無駄に見えてもいつか生徒が理解してくれる日がある,などという《見方の変換》をして現状を受け入れている」という意識が示唆された。一方,各個人の面接内容の解釈による認知構造を比較するとバーンアウト傾向群は2通り,(1)日々の教育資源の欠如と無力感の状態が続くことがバーンアウトに結びついている,(2)日常をはるかに越えた大きな出来事に遭遇して,急速に教育資源がなくなることがバーンアウトにつながる,であった。健常群では,各々がどんな小さなことであろうとも将来への何らかの期待や希望を待っているという《将来への可能性》をもつ構造が基となる。さらに特徴別に分けると4通り,(1)教師として自負するものがある(自負型),(2)子どもの可能性を信じる(信頼型),(3)見方の変換をはかり現状を何とか受け入れようとする(受容型),(4)人には関われない世界がある(関わり型),となるようである。このような個人による信念があるため,疲弊しそうな状況にあってもきわめて教職生活が安定していると推測される。
- 甲南女子大学の論文
- 2003-03-18
著者
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