沖縄における仏教とシャーマニズムの重層構造 : 「首里十二ヵ所巡り」の習俗をめぐって
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概要
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復帰以降、沖縄では宗教各派の組織的強化、増加がめだつ。それに対し、在来のいわば民間宗教がどう対応し、どう変わったのか、「首里十二ヵ所巡り」と呼ばれる寺院巡拝の慣行をとりあげ、その実態をシャーマン的職能者および寺院の論理も絡めつつみた。沖縄の仏教受容のあり様は、在来の祖霊観や死霊観、神観念と結びついた枠組みの中でなされ、そこにシャーマン的職能者が深く関与している。職能者の側からみると、それは新しい神々を自らの世界に取り込み、職能に組み込んでいく課程である。それに対する寺院側の対応は、従来通り巡拝を許容する〈伝統並存型〉に加え、それを廃した〈純粋教義型〉、職能者を信徒として組織化した〈融合強化型〉と三様に整理できる。それらは、組織宗教と民間宗教ないしはその職能者の論理の並存、対立、融合という両者の習合のありようを示す〈型〉ともいえるのではないだろうか。
- 沖縄国際大学の論文
- 1999-03-31
著者
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