L-アスコルビン酸によるヒスチジンの特異的褐色の機構について
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概要
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1.ヒスチジンとL-アスコルビン酸はin vitroで,PH7.0附近で著しく着色し,初め特異的な紫褐色を呈し,次第に暗褐色に変ることをみとめた。2.この褐変は温度によつては余り影響を受けず常温でも100℃でもおこるが,100℃では常温あるいは37℃の場合よりもやや酸性側で最もよくおこることをみとめた。3.この褐変はFe,Cuにより初期において促進され,Sn,Zn,Mg,チオ尿素,蔗糖などにより抑制されること,この褐変にはO_2の存在が必要なことをみとめた。4.褐変の初期においては,530mμ附近に極大吸収をみとめた。5.着色物質の分離を行なつて,それがNを含有していることを確かめた。6.褐変液を稀酸あるいは稀アルカリと加熱して2つのニンヒドリン反応陽性の物質をみとめ,これがイミダゾール化合物でないことを確かめた。また,これらの物質がヒスチジンとL-アスコルビン酸の臭素酸化物ではみとめられないこと,臭素酸化液中にはL-アスコルビン酸デヒドロアスコルビン酸は残存しないことから,この褐変にはL-アスコルビン酸およびデヒドロアスコルビン酸のような初期酸化物があずかり,キシロソン以降のL-アスコルヒン酸酸化物は関係しないことをみとめた。
- 1960-09-30