オーディオ・リンガル教授法の適用と日本における英語教育の問題点
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概要
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オーディオ・リンガル教授法は1920年代から30年代にかけて,アメリカインディアンの言語研究を行っていた構造言語学者たちの提唱した言語理論に基づいている。彼らの言語研究の姿勢は,口語が言語の中核であり言語の研究対象は口語にあるとの考えに基づいていたのである。この言語に対する考え方から生み出されたのが,ロバート・ラドーとチャールズ・フリーズによって作り上げられた言語教育法であるパターン・プラクティス(文型練習)法でオーディオ・リンガル教授法のまさに中核をなしている。この文型のキーワードを入れ替えるという単純な練習法は,現在まで英語会話教育の中心的な教育法として幅広く教育現場に採用され統けているのである。日本においても,従来から学校教育現場での中心的教育法であった訳読式教授法が日本人の英語運用能力の向上に良い結果をあげていないことから,旧文部省は指導要領の改訂のたびに会話能力の向上を求めるようになった。そして,その結果,このパターン・プラクティス(文型練習)を中心としたオーディオ・リンガル教授法が教育現場にも大幅に採り入れられるようになったのであるが,この教育法はあくまでも口語英語の教育を目的に考えられたものであり,英語全般についての教育を目的としているものではない。教師は,このオーディオ・リンガル教授法が教育目的としたことを十分に理解した上でその適用をすることが求められている。
- 2002-12-20
著者
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