言語学的見地から考える英語のスペリング体系の教育
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概要
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1920年代から30年代に活躍した構造言語学者たちは基本的に「書きことば」は単に「話しことば」を表現する記号にすぎないとの見方をしていた。しかしながら,同音異義語や同綴異音語の実例を考えるならば,この観点から書きことばについて考えることには問題がある言える。理論的に言語の文字体系について考えるならば,それぞれの文字は音(音素),音節,形態素または語に対応していなければいけないのであるが,現実には人間の言語の文字体系はそれらの言語学上の基本概念が絡み合って使われている。このことによって英語の学習者に英語の文字体系を教育する場合の問題点が存在するのである。英語の文字体系を教育する場合の問題点について言語学的な面から具体的に考えてみると,英語の音素とアルファベット文字との関連付けは単に一対一または一対複数と捉えることはできない。また,単語を構成する特定の文字が他の文字の発音の仕方を示す記号的な役割しかしていないと考えざるを得ない場合もあるし,形態音素の概念でしか説明できない部分もある。そして,英語の文字体系は単にアルファベット文字に基づくだけであるとも言えない部分もある。このようなことを考えていくと,英語の場合も例外ではなく,そのスペリング体系は複雑であり,英語学習者がその体系を客観的に理解するためには言語学の基本的な概念を理解した上で,その体系を言語学的な見地から総括的に学習する必要があると言える。
- 広島文化学園大学の論文
- 2003-07-31
著者
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