『尺には尺を』における劇作家の共感(第2部)
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概要
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シェイクスピアの問題喜劇『尺には尺を』の主要人物三人、アンジェロ、イザベラ、公爵には、人物としてさまざまな欠陥が感じられる。とりわけ、性に対して否定的であるという共通点を持つ。ルーシオ、オーヴァーダンなど性に深くかかわるコミカルな人物たちは、あまりに放埒である。劇の後半から登場するマリアナは、「ベッド・トリック」に賛成することによって性にかかわり、愛するアンジェロと結婚するが、彼女こそ作者の共感を得ている唯一の人物である。真撃な愛ゆえに夫の助命を願う彼女には、理屈の勝り過ぎた主要人物や無法にもなり得るコミカルな人物たちには向けぬ作者の暖かい目が注がれる。
- 1996-12-10
著者
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