Tennyson, In Memoriam
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概要
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19世紀にイギリスを襲った宗教的真理への疑問と批判は、誠実なる懐疑家たちの魂を不安と絶望に陥れていった。彼らが自己の危機をどう克服して新しい精神の羅針盤を再発見していったかは、今日的な課題をも含んでいる。その方法も多様であった。Alfred Lord Tennyson(1809-92)の場合は、当時の文学者・知識人のひとつの在り方を典型的に示している。彼は、懐疑的な時代思潮に真正面から挑戦し、科学と宗教の相克を自己の生き方の中に主体的に受け止めて戦った。親友Arthur Hallamの死の衝撃を契機に、霊魂の不滅と永生が真理として存在し得るかを問うた。そしてついに自己の悲哀が真実であり、それを詩の中に歌い切ることの可能性の中に霊魂が不滅のものとして交感され、永生が永遠の希望として存在することを確信した。彼は、詩の普遍性を実証し懐疑を超克した詩人といえよう。本論はこの問題をIn Memoriamの中に跡づけようとする。
- 1995-12-10
著者
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