深澤七郎の小説『楢山節考』とフランツ・アルトハイムの『小説亡国論』
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
深潭七郎の『楢山節考』は、典型的に日本的な作品なのであるが、その作品が外国人にも理解され感動を与えることができるかというところから拙論のテーマは発している。筆者はこの小説『楢山節考』を、昨年平成14年度後期から今年平成15年度前期にかけて、北海道教育大学釧路校の外国人留学生のための授業「日本文化論」の教材にも使ってきた。この小説をこの授業の教材に取り上げたそもそもの理由は、勿論この小説が戦後の日本文学を代表する決定的な作品であり、日本文化を勉強しようとしている彼ら外国の学生たちにとってこの小説は最適の教材と思っていたからである。しかしそれと同時に筆者にはもうひとつの期待があった。それは外国の彼らも一体にこの小説にショックを受けるであろうか、そしてこの小説に感動するであろうかという一縷の望みを内に孕んだ密かな期待であった。そしてその期待は実現した。しかしその感動の源泉は一体どこからくるのであろうかというのがこの論文のライトモチーフである。拙論では特にハンガリーの神話学者カール・ケレーニーイ(Karl Kerenyi 1897-1973)の根源神話(Urmythologie)を援用しつつ、ドイツの古代史学者フランツ・アルトハイム(Franz Altheim 1898-1976)の著書『小説亡国論』を分析しながら、この『楢山節考』を比較検討している。スウェーデンのアダム・ダールストローム君は、国費研究生として北海道教育大学釧路校で日本文化を研究してきた。とりわけ彼はこの『楢山節考』に関心を待って筆者の指導を受けた。彼の論文には意味深いものがあると思われるのでここに補遺の形で掲載することにした。
- 2003-11-30
著者
関連論文
- 2005年度北海道教育大学附属釧路小中学校・大学共同研究報告
- 2004年度北海道教育大学附属釧路小中学校・大学共同研究報告
- まえがき(1)
- ガートルード・スタインと現代ドイツ文学 : G.スタインのダダイズム、シュトュットガルト・グループ、E.ヤンドルへの影響
- ガートルード・スタインとヨーロッパ : 『ファウスト博士の明るい灯り』を中心に
- 釧路湿原の長谷川光二 : 北ドイツの悪魔湿原と釧路湿原の比較文化的考察(第三部)
- ハインリヒ・フォーゲラーの総合芸術と長谷川光二の生涯 : 北ドイツの悪魔湿原と釧路湿原の比較文化的考察(第二部)
- 北ドイツの悪魔湿原と釧路湿原の比較文化的考察(第一部)
- ゲーテ『アレクシスとドーラ』-謎の詩行と嫉妬をめぐって-
- 実験文学の源流 : ハンス・アルプとクルト・シュヴィッタースの友情とその文学技法
- 伝統からの脱出としての総合芸術 : クルト・シュヴィッタースのメルツ詩『アンナ・ブルーメに寄せて』をめぐって
- ゲーテとアレゴリー
- 歴史上のファウスト
- ゲーテの小説理論 : 『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』における「偶然」の問題
- 深澤七郎の小説『楢山節考』とフランツ・アルトハイムの『小説亡国論』
- 21世紀ドイツの学校教育改革 第二部 -ヘレネ・ランゲ学校ヴィースバーデンの場合-
- 教育者としてのトーマス・ベルンハルト 第一部
- 21世紀ドイツの学校教育改革 : へレネ・ランゲ学校と緑の党の関係