少子・高齢化と日本の消費フロンティア
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概要
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国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(平成14年1月)によれば、日本の少子・高齢化は過去の推計を上回るテンポで進むとみられている。本稿の目的は、主として、新しい人口推計が見込む総人口の減少と年齢構成の変化が将来の消費水準にどのような影響をもたらすかを定量的にとらえ、併せて分析結果をもとにした政策的インプリケーションを導くことにある。従来、少子・高齢化の消費水準への影響については、理論的に定常状態における1人当たり消費(消費フロンティア)にどのような影響を及ぼすかという形で捉えられてきた。その場合、長寿化は国全体の扶養比率(例えば労働力人口/総人口)を低下させることによって消費フロンティアを引き下げるが、少子化は将来の労働力人口の相対的減少により消費フロンティアを低下させる半面、労働力当たりの必要投資を減らすこと(ソロー効果)によって消費フロンティアを高める可能性をもつ。本稿では、ソロー型成長モデルを日本のデータに適用することによって消費フロンティアを求め、2050年までの消費フロンティアに対する少子・高齢化の影響を計算した。また、その場合、扶養比率については労働力人口/総人口だけでなく、年齢層別消費水準、性・年齢別労働力の質を考慮した指標も用いた。計算結果によれば、(1)少子化は当面扶養比率を高め消費フロンティアを上昇させる効果をもつが長期的には高齢化による扶養比率の低下が消費水準を引き下げる、(2)ソロー効果は扶養比率の低下がもたらす効果の10分の1程度で米国の場合(1/4〜1/2)より小さい、が明らかとなった。また、政策的インプリケーションとして、高齢者労働力率の上昇、および人的資本の向上が消費フロンティアの増大に大きく寄与するという結果が得られた。
- 岐阜聖徳学園大学の論文
- 2003-03-31
著者
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