米国マーケティング論生成期の知的背景 : 19世紀末独墺経済学との接点 (故鈴木清之輔教授追悼号)
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概要
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本稿では,19世紀後半から20世紀初頭にかけて,産業社会の変貌を契機にして展開された米国社会における思想状況の一端を,当時の支配的理論であった古典派理論と新たに多くの人々の知的関心をひきつけた独墺の経済理論の取扱い,特にドイツ歴史学派の思想の取扱いをめぐる論争を中心に概観し,帰納的,歴史記述的研究方法の浸透を背景に展開された産業史的・商業史的研究と個別経済主体に焦点をすえた部門管理的な研究が,前者を背景知識として結びつくことによって,次弟に相対的に独自的な研究領域としてマーケティング研究の分野が確立されていった様相を解明する。それによって,従前,マーケティング研究における古典的アプローチと呼ばれてきた商品的および制度的(機関別)アプローチが,歴史学派の研究方法の特徴を色濃く受け継いではいたこと,また,A.W.ショウによって体系的かつ分析的研究の基礎を置かれたと言われるマーケティング研究が,部分的には歴史記述的な性格を残しながらも,均衡概念を手がかりに演繹的な論理構造を指向するものであったことを明らかにする。
- 慶應義塾大学の論文
- 2000-11-25
著者
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