中国の企業改革における民主的な管理
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概要
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中国政府が社会主義的な経済理論に立脚し,一貫して堅持してきた方策の一つは,企業の民主的な管理を行い,労働者の労働意欲を最大化して生産性を向上させることである。他方,政府は経済改革を進め,次第に市場経済を導入した。市場経済が発展する結果,生産力が大幅に向上し,人々の生活が改善されたため,「供給不足経済」は「需要不足」経済へと転換し,「単一消費」は「多様消費」へと転換した。これらの転換とともに,市場競争が激しくなり,企業の効率性は単なる生産量ではなく,新製品開発や市場開発によって決められるようになった。このように,経済活動における不確実性が大幅に増大し,経営者の役割が企業の成長に決定的なものとなった。これに対して経営リスクを負担しようとしない労働者は,管理参加から命令服従へと,自然に自らの位置転換を行う。このような「自然」発生的な現象は,国有企業の改革の進みにつれて一般化すると考えるが,政府の方針に従って強制的に経営参加をさせる場合には,企業の効率性の改善が阻止されるか,民主的管理が形骸化するか,というよう相反な結果が発生する。
- 慶應義塾大学の論文
- 2000-12-25
著者
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