日米生産性比較と国際競争力 (岩田暁一教授退任記念号)

概要

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この研究は,我が国の国際競争力について,特に日米の国際比較を中心に産業30部門分類のレベルで現状を把握し,その問題点を明らかにし,再生への視点を明らかにすることを目的としている。産業の国際競争力は,幾つかの指標で捉えることができる。価格競争力という意味で,各産業の生産物価格を国際間で比較することも一つの指標である。また,産業の生産性のレベルを比較することも重要な指標足り得る。生産性に関しては,労働生産性や資本生産性といった,ひとつの投入要素の生産性の比較に着目する,いわゆる部分生産性の概念を用いた国際比較も可能である。しかし,その場合には,しばしば,一つの要素の生産性,たとえば,労働生産性が,我が国が相対的に優位にあるにも関わらず,他の生産要素,たとえば資本生産性が相対的に劣位にあるということも同時に観察され,そのとき,総合的判断としての生産性の優劣を判断できないということが起こってくる。そこで,提案されたのが,いわゆる全要素生産性の概念である。ここでの産業の国際競争力の把握は,この全要素生産性の概念を用いたものである。全要素生産性の絶対レベルを国際間で比較しようとする際には,産業の産出物,および投入要素の価格についての国際間の比較が必要となる。この研究では,1990年のOECD等の国際間購買力比較の資料をもとに,産業別の生産物価格の生産者価格ベースの日米相対比価を算定している。また生産要素についても労働,資本,エネルギー,原材料に関して,日米相対比価を算定し,それをもとに全要素生産性の日米格差を測定している。
1999-12-25

日米生産性比較と国際競争力 (岩田暁一教授退任記念号)

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