倒産診断モデルに関する一試案
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概要
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昨年,上場企業が立て続けに倒産した。従来,倒産は中小企業のものと考えられてきたが,大企業にもその可能性が否定できなくなってきたということが言えるだろう。近年のめまぐるしく変わる経営環境にうまく対応できていない企業は,たとえ大企業であったり,歴史と伝統があり十分な信用力を保持していると思われる企業であっても,倒産の危険にさらされているのである。しかし,一般的に景気が好転してしまえば,自己の企業が倒産する可能性や,取引先が倒産する可能性に関して注目することが極端に減少してしまう。企業倒産の原因は,必ずしも企業外要因によるものではない。企業内要因にも何かしらの問題点が存在しているはずである。それを放置したために倒産という事態に陥ったとも考えられる。これは倒産した企業すべてに当てはまることだが,今現在,倒産していない企業も例外ではない。企業が倒産を回避するためには,できるだけ早い段階での対処が必要であり,そのためには倒産要因及び倒産可能性を早い段階で認識する必要がある。従来から,倒産に関する研究は盛んに行われており,中でも,倒産予測に関する研究が数多くある。しかし,従来の倒産予測モデルは,銀行や投資家の視点にたち,倒産するか否かに焦点を当てたものが多く,経営者が倒産回避に用いるには困難があると考えられる。そこで,本論文では,経営者の視点にたち,倒産回避に有用な倒産診断モデルの構築を行った。倒産診断モデルでは,倒産過程・倒産要因・定性的な倒産兆候・定量的な倒産兆候を用い,当該企業が倒産過程のどの段階にいるか,更に,倒産要因がどこにあるかを判断することができるのである。
- 1998-08-25
著者
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