総合福祉主義と企業の生きがい開発の統合モデル : 先進事例の研究を中心として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は,総合福祉主義の推進と変容する従業員帰属意識との関係を究明するため,現段階で総合福祉主義の姿勢を明らかにしているA社をモデルケースとして取り上げ実証研究を行った。帰属意識調査に関しては,関本・花田の「帰属意識調査研究」における調査結果とほぼ同じ5つのクラスターが検出され,それぞれの帰属意識タイプと総合福祉主義(ニューワークウェイ)との関連性について,(1)「自己主体型」帰属意識がニューワークウェイに関するほとんどの側面で最も高い得点を示していた,(2)「企業依存型」,「伝統型」では,全般的に一応の肯定的姿勢が例えた,(3)「功利型」,「稀薄型」は,全般に低い得点を示したが,「功利型」については,「制度利用」と「文化支援」に対し前向きな態度が見られた,以上3点が判明した。「自己主体型」は,従来の日本企業に一般的に見られた「伝統型」や「企業依存型」とは異なり,自分の考えを組織内で実践することに忠実なグループである。このタイプが他の帰属意識タイプを差し置いて,総合福祉主義に対し極めて肯定的な反応を示したことは,新しいタイプの帰属意識と多様な価値観に基づく選択型人事施策との統合を示唆するものと考えられる。今後は,このタイプの帰属意識を醸成することにより,個人の生き方をより積極的に取り入れた選択型・生きがい開発型の人事施策の促進をはかるとともに,新しい従業員のコミットメントのさらなる創出が可能となっていくものと考える。
- 慶應義塾大学の論文
- 1997-08-25
著者
関連論文
- 働き方の多様化と企業の家族支援
- アメリカ型アファーマティブアクションの日本への導入 : 日本的ジェンダー・マネジメントの構築に向けて (藤森三男教授退任記念号)
- 非雇用在宅ワーカーの自律志向性による類型化
- 企業フィランソロピーに関する一考察
- K-11 組織戦略に基づいた新しい人材教育のあり方
- 「就社」 「就職」 「自律」 (就職)
- 家族社会学における概念枠組みを基とした日本的経営論再考の試み : 家族理論の経営学への適用の可能性
- 総合福祉主義と企業の生きがい開発の統合モデル : 先進事例の研究を中心として
- 「人財」活用マルチメディア・データベースシステム
- 2. コーポレートユニバーシティーによる新しい人材教育(研究発表C,II.自由研究発表,日本産業教育学会第40回大会報告)