大腸炎における核塵の発現と病理組織学的意義:ラット Dextran Sulfate Sodium 大腸炎における検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ラットDSS急性大腸炎モデルを用いて, 核塵の発現とその臨床像を経時的に検討した. 同時にInterleukin-11(IL-11)のラットDSS急性結腸炎に対する効果についての検証も行った. DDS群では,0.5日〜1日にかけては管腔側に抜け出ていくapoptotic epithelial cell が多く観察されたが,3日目からは基底膜直下の粘膜固有層内に核塵が観察され始め, 5日目では核塵数はピークとなり,血便も観察された. また,二重染色によって,核塵が apoptotic epithelial cell であることが証明された. 7日目ではびらんが観察され,14日目でもまたびらんは完全に修復されていた. また,同時に血便の出現頻度も低下していた.以上のことより,DSSは上皮のturn overとapoptosisを加速して大腸炎を惹起し,IL-11はそれを軽減したと考えられる. apoptotic epithelial cell の増加は血便の出現と一致したことから,基底膜直下の粘膜固有層にある核塵の量は病態の程度[重症度]を示唆するのではなかろうか.
- 長崎大学の論文
著者
-
七條 和子
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科原研病理
-
慎 武
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科原研病理
-
慎 武
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科附属原爆後障害医療研究施設・放射線障害解析部門病態分子解析研究分野
-
慎 武[他]
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科附属原爆後障害医療研究施設・放射線障害解析部門病態分子解析研究分野
-
慎 武[他]
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科原研病理
関連論文
- 結腸におけるケフィアの放射線防御効果
- 放射線大腸炎モデルの修復過程における骨髄由来幹細胞の関与
- 一般演題26 長崎原爆被爆者の剖検・パラフィン標本を用いた残留放射能の検出法
- 一般演題28 長崎原爆被爆者の米国返還資料を用いた残留放射能の検出法-(その1)
- Dextran Sulfate Sodium 大腸炎における Interleukin-11 の治癒過程における効果
- Interleukin-11 のラット放射線誘発大腸炎における bystander response を介した抑制機構
- Dextran Sulfate Sodium 大腸炎における核塵の発現と意義
- ラットストレス胃潰瘍発生における heat shock protein の役割 : 胃粘液との関係
- 潰瘍治癒過程における IL-11によるTie-2発現の検討
- 同種造血幹細胞移植における皮膚GVHDの免疫組織学的検討
- ラット急性放射線性腸炎モデルにおけるマクロファージの発現
- 潰瘍治癒過程における Interleukin-11 の役割
- 一般演題 40 放射線照射によるパイエル板内リンパ球のアポトーシスと関連蛋白の発現
- 高血圧自然発症ラットのストレス胃潰瘍発生における heat-shock protein の役割
- 潰瘍治癒過程における血管新生因子Ang-1, Ang-2の発現
- インターロイキン-11の放射線誘発大腸潰瘍に対する効果
- Interleukin-11 の Dextran Sulfate Sodium 結腸炎に対する効果
- 一般演題 24 Wistar rat放射線腸炎モデルの長期経過
- 潰瘍治癒過程における血管新生因子Tie-1, Tie-2の発現
- 一般演題 28 ラット急性放射線腸炎に対するポラプレジンクの効果
- 一般演題15 bFGFのラット小腸急性放射線障害に対する効果
- 大腸炎における核塵の発現と病理組織学的意義:ラット Dextran Sulfate Sodium 大腸炎における検討
- SF-085-1 FFPE標本を活用した高密度DNAマイクロアレイによる癌ゲノムのアレイCGH解析(サージカルフォーラム(85)多臓器:基礎,第111回日本外科学会定期学術集会)
- ラット甲状腺濾胞上皮のDNA損傷応答と放射線誘導オートファジーに対する年齢の影響