<原著>ミクログリア細胞における組織傷害因子発現の研究
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概要
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ミクログリアは脳由来の細胞群で免疫炎症反応を担うマクロファージと同様の機能を持ち,脳内での免疫・炎症反応に大きな役割を果たしていると考えられている.脳損傷部位に出現する活性化ミクログリアは,組織傷害因子の産生による脳損傷病態への関与が推定され注目されている.今回,培養ミクログリアをケモカイン/サイトカインであるリポポリサッカライド(LPS)/インターフェロン(IFN)-γで刺激しその細胞反応を検討した.組織傷害因子である誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS),誘導型プロスタグランジン合成酵素(COX-2),プロテアーゼであるmatrix metalloproteinase (MMP)-2, MMP-9, tissue type plasminogen activator (tPA), urokinase typePA(uPA),uPA受容体のmRNA発現をリアルタイム定量的RT-PCR法を用いて定量的に検討した.LPS/IFN-γ刺激により活性化したアメボイド型ミクログリアは,ラミファイド型ミクログリアに比べ誘導型プロテアーゼであるMMP-9 mRNA発現を80%増加し,過酸化反応を生じるiNOS mRNAおよび炎症反応や発熱を生じうるCOX-2mRNA発現は共に100倍以上増加した.LPS/IFN-γ刺激により活性化したアメボイド型ミクログリアは,複数の組織傷害因子を同時に発現することが本研究で明かとなった.これらの組織傷害因子を介してミクログリアは二次的脳損傷に関与する可能性がある.
- 近畿大学の論文
- 2002-12-25
著者
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