<原著>第 2 篇各種呼吸器疾患における血清 IgE 値の検討(呼吸器疾患における血清 IgE に関する研究)
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概要
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1. 気管支喘息, 気管支・肺感染症, 肺結核症, サルコイドージス, 塵肺, 肺気腫, 自然気胸, ベリリウム肺, 肺癌の患者についてradio immuno sorbent test (RIST)による血清IgE値の測定を行ない, 健康者群のIgE値と比較した。その結果, アトピー性気管支喘息および肺癌の両群ではIgE平均値がそれぞれ791 IU/ml, 349 IU/mlと健康者群のIgE値187 IU/mlと比較して明らかに高値であった。また塵肺群ではIgE平均値は162 IU/mlと対照に比して有意差を認めなかったが, その分布域は24 IU/ml∿1.078 IU/mlと対照群の約2倍の広範囲にわたって分布していた。その他の疾患群についてはIgE平均値についても, その分布域についても対照である健康者群との間に著明な差異を認めなかった。2. 肺癌患者の血清IgE値はその進展度による差異を認めなかった。組織型に関しては類表皮癌ではIgE値445 IU/mlで未分化癌のIgE値265 IU/mlと比較して0.05<p<0.1で有異差を認めた。3. 気管支・肺感染症群。肺感染症群塵肺群のうち28例についてpaper disc radio immunosorbent test (PRIST)による血清IgE値の測定を行なってRIST値との相関性について検討した。その結果, 両者の測定値は対照とした健康者群および気管支喘息群の場合と同様良好な相関性が認められた。4. アトピー性喘息患者の特異的減感作療法開始後, 1年以上経過を観察した症例について, 血清IgE値の変動と減感作療法の効果との関連性について検討した。その結果減感作療法有効例10例については全例, 血清IgE値の著明な下降を認めたが, 無効例8例では全例, IgE値の下降を認めないかあるいはごくわずかな下降が認められたに過ぎなかった。これらの症例におけるLog IgE値の変動幅は±0.15以内であった。有効例では全例に減感作療法開始後3.6∿7.9ヶ月(平均6.2±1.5ヶ月)以内にLog IgE値0.15以上の下降が認められた。
- 1978-03-30
著者
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