J.S.バッハの言葉と音楽 : 「マタイ受難曲」のバス独唱曲の分析
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概要
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「聖書」の物語を劇的な表出力で表現したバッハの作品を演奏するにあたり,その表出力の源となる音楽と言葉の結びつきから導きだされる多彩なフィグーラ(音型)による表現法に視点を置いた彼の作品の分析研究は,演奏表現法を考察するに重要なことである。本論文では,その考えに基づき,「マタイ受難曲」のバス独唱曲を分析研究し,演奏表現法を考察した。彼の作りだしたフィグーラは次のような観点で分類された。1.動作の描写。2.自然の描写。3.人の感情の表現。4.ある事象の象徴的な表現。この分析の結果,言葉をこのような観点で逐語的にフィグーラにより表現することによって,そこから映像を見るような,又は実際に聴衆が体験しているような空間を作りだしていることが明かとなった。それは,テキストの内面を浮き上がらせるに十分な効果を上げ,そのことによって彼の音楽は,聴衆の想像力に直接的に訴えかける具体性を持った表出力を得た。この事から導きだされる彼の作品の有効な表現方法は,逐語的なフィグーラによる表現を,演奏家もまた作曲者同様に理解し,かつ認識して,各フィグーラによって語られる音楽表現を具現することであると確信した。そのことが,彼の意図した表現に達するための方法であると思う。Die Forschung uber die Figur, die von der Bindung zwischen Musik und Wort gefuhrt wird, ist sehr wichtig, um Bachs Werke zu spielen. Auf Grund dieses Gedankens habe ich uber die Arien und Rezitative fur Bass-solo von "Matthaus-Passion" von J.S. Bach geforscht. Als Folge davon bin ich uberzeugt, dass fur den wirksamen Ausdruck der Werke von Bach das Verstandnis und die Erkenntnis der Wort fur Wort komponierten Musik unentbehrlich ist und der Interpret den der Figur entsprechenden Ausdrucks genau verwirklichen muss.
- 上越教育大学の論文
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