在宅高齢者の福祉サービス利用の有効性と課題 : コミュニティ・パートナーシップ概念を用いて
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概要
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高齢者にとって在宅福祉サービスの利用は,高齢期における在宅生活を継続する上での一つの有効な手段となりうる。小家族化が進行し核家族が一般的となり,また高齢世帯も増加している。こうした社会的背景に高齢者個人の在宅生活に対する希望や不可避の身体的機能低下の側面を考慮に入れると,在宅福祉サービスに対する今後の需要の増加が予測される。<BR>さて家族の介護力の低下が明らかである現在では,家族の介護力を前提とした在宅福祉サービスの推進には限界があると考える。従って,高齢者に対するケアを,家族を超えた領域として位置づけ,地域社会で支援する方向として「介護の社会化」を促進する必要性に注目する。従って本稿は,高齢者を在宅福祉サービスの利用者,福祉施設をサービス供給の拠点として位置づけ,在宅福祉サービスを媒介とする提供者と利用者の相互作用について,コミュニティ・パートナーシップの概念を用いて分析,考察するものである。その際採用する指標は,ケア(Caring),信頼(Trust),互酬性(Reciprocity)である。これらは皆パートナーシップの本質であり,サービスを媒介とする提供者と利用者の相互作用の分析に最も説明的であると考える。これら3要素を用いて,事例として在宅福祉サービスの一つであるデイサービスとそれを利用する高齢者を取りあげ,サービス提供者とのパートナーシップについて考察する。
- 北海道社会学会の論文