エスニシティの復権と国民国家のゆくえ (<特集>変動への新しい視点)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿の目的は、エスニシティ現象をめぐって、いくらかの一般化された理論の可能性をさぐることである。まずエスニシティの概念について整理し、それを文化と人権と出自の客観的属性の共有あるいはそのような属性の主権的な共有の信念であるとする。ついでこのエスニシティの活性化の原因とエスニック集団の主体形成を、文化の利害と経済・社会の利害の剥奪とその克服の過程に求める。ついで、このエスニシティ現象の意義を国民国家のあり方の変化の観点から論じる。まず、国民国家の概要を吟味し、ついでエスニシティの効果を見る。多文化主義や地域主義に、また近代の価値たとえば個人主義や業績主義を制約するかのような政策に、近代社会あるいは国民国家に対する修正を見いだす。しかし、他方でエスニック運動そのものが、近代の自由や平等を主張するリベラリズムの価値の履行という側面をもつこと、また自立する地域の連邦主義的な統合や民族の再統合を目の当たりにすること、これから現代の少なくない数の社会は国民国家のエトスを強め、国民国家の実現を目指していることを明らかにする。
- 数理社会学会の論文
著者
関連論文
- 原 純輔・浅川達人著, 『社会調査』, 放送大学教育振興会, 2005年, A5版, 246頁, 2600円 / 盛山和夫著, 『社会調査法入門』, 有斐閣, 2004年, A5版, 324頁, 2300円
- 森岡清志編『都市社会のパーソナルネットワーク』
- 小林淳一・三隅一人・平田暢・松田光司著『社会のメカニズム』
- 国際関係ネットワークのブロックモデル分析
- INSAの試み,Mathmaticaの利用,そして双方向のWWW
- エドガー,モラン著『複雑性とはなにか』
- 選挙制度改革をめぐって
- 小林良彰著『現代日本の選挙』
- エスニシティの復権と国民国家のゆくえ (変動への新しい視点)
- 樋口陽一著『自由と国家』
- 数理社会学はパラダイムを必要とするか