クラフトパルプ残留リグニンの特性膨潤 : 溶媒和プロセスによる評価
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概要
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Residual lignins in spruce kraft pulps were separated quantitatively and fractionated, using the swelling-solvation process originally developed for quantitative separation and structural modification of lignocellulosic components. The resulting fractions were characterized in comparison with the corresponding fractions of dissolved lignins. About 50% of residual lignins in kraft pulps was of higher molecular weight, richer in conjugated systems and more rigid, compared with dissolved lignins. These high molecular weight fractions were not formed by secondary condensation during pulping, but came from original high molecular weight fractions. The other half was interspersed into fibers as low molecular weight fragments with intimate association with carbohydrates through linkages stable under acidic and alkaline conditions.本研究ではクラフトパルプ中に残留するリグニンの分子形態を総体として把握するため，リグノセルロース系複合体の成分分離・構造変換手法としてオリジナルに開発された膨潤－溶媒和（S－S）プロセスを用いて，パルプ残留リグニンを定数的に分離・分画した。各区分のマテリアルバランスを検討するとともに分離リグニンの特性を溶出リグニンと比較解析した結果，クラフトパルプ残留リグニンの存在形態および性状に関し，以下の知見を得た。クラフトパルプ残留リグニンの約1/2は，溶出リグニンよりも高分子であり，共役構造に富み，かつリジッドな分子構造を有するが，この区分は二次縮合によるものではなく，主としてオリジナル高分子区分に由来する。一方約1/2は低分子であるが，酸，アルカリいずれにも安定な結合を通して炭水化物と緊密にアソシエートしており，また比較的二次縮合構造に富み，低分子フラグメントとして繊維中に散在している。
- 三重大学の論文
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