清末北京語の一斑 : 『燕語新編』を資料として
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概要
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清末の1906年に日本で、『燕語新編』なる中国語会話テキストが刊行された。このテキストはその当時の社会情勢からしても、その場面設定からしても当時の北京で実際に話されていた北京語を反映しているものと予想される。小論はその言語の特質から当時の北京語の実態を探ろうとするものである。その手法として、小論では太田1964,1969の論考に照らし、また同時代の資料でその性格も類似している『燕京婦語』との比較を行った。結論は以下の通りである。『燕語新編』の言語が北京語であることは疑う余地が無いが、多くの点で『燕京婦語』とは異なっている。その事実より単に北京語と言ってもそれは均質的なものではないことが伺える。