老年者疑似体験の学習効果についての検討 : 臨地実習での老年者とのかかわりからの評価
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概要
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老年看護学では,老年者の理解を深めるための試みとして,老年者疑似体験を授業に取り入れている。この演習は,老化による感覚・運動機能の低下を学生が疑似体験することによって,老年者の身体機能が日常生活に及ぼす影響を体験的に理解し,さらにそれによる心理・社会的影響を考察することをねらいとしているものであり,老年者を理解し,老年者の立場に立った看護を実践するために有効な体験であると考えられている。今回,演習方法の見直しを行うために臨地実習で老年者との相互作用を体験した時に,老年者疑似体験がどの程度の効果を有するのかについて調査を行なった。その結果,約8割の学生が実習で老年者と関わる際に疑似体験が役立ったとしており,疑似体験をもとにして,具体的援助方法の工夫,気持ちの理解,相手のペースに合わせる,見守る等の援助の留意点を考え,歩行や入浴の介助,聴力障害がある人との会話等の場面で活用することができていた。さらに実際のかかわりから,老化による日常生活への影響の大きさ,老年者個々の個別性,老年者の心理的側面への理解が深まり,介助者として,観察,個別性への配慮,自立を促す援助,声をかけることが重要であることに気づいていた。
- 岩手看護短期大学の論文
- 1999-12-25