<原著>岡山県下における遷延性意識障害患者の療養生活と介護者の現状
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
遷延性意識障害患者の実態と家族のケアの際の心理状態を明確にするために, 岡山県内において遷延性意識障害患者のケアをしている家族に対して, 生活実態に関する調査を行い, 以下の結果を得た.1.岡山県内には, 少なくとも659人の意識障害患者が療養し, それらの平均年齢は68歳7カ月であり, その80.2%が入院療養であった.2.意識障害の原因は脳血管障害によるものが約60.0%, 次いで交通事故による脳障害が約20.0%であった.3.在宅で介護を受ける患者は19.8%と少なかった.1患者当たりの介護者数は少ないため介護時間が長くなっており, 在宅介護iの困難性が伺われた.4.医師によって昏睡状態であり, 回復の可能性が乏しいと診断された症例でも30%〜40%の家族は, 症状の変化と回復の徴候が感じられると述べていた.医学的には回復不可能とされる場合でも, 家族にとってはわずかな症状の変化が改善への期待につながっていた.患者に対する介護を支える心理的要因としては, 「家族としての責任」と答える家族が約66%, 「患者に対する愛情」と答える家族が約24%見られた.これらの結果から, 医師が回復不可能とみなした患者に対しても, 家族は患者を生かし続ける意味を見出しケアを継続していることが伺えた.
- 川崎医療福祉大学の論文
- 2000-12-25