ストレス蛋白質DnaKの役割
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概要
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大腸菌細胞が熱ショックを受けた時に合成するストレスタンパク質の1種, DnaKタンパク質に注目し, その役割をしらべた。すでに高温感受性のdnaK7(Ts)突然変異株が分離されているので, この変異株を用いて実験を行った。野生型および変異型細胞を30℃で培養後, 43℃で培養を続けながら増殖曲線を測定した。同時に細胞の形状を光学顕微鏡で観察し, 顕微鏡写真を作製した。細胞の大きさ, 形態の変化を詳細に検討した結果, DnaKタンパク質の欠損によって, 細胞増殖が43℃で阻害され, 細胞が伸長するのみでなく弯曲するなどの異常が明らかに観察された。また細胞内密度の変化も顕著に見られた。変異型細胞が熱ショックを受けた時に, 細胞内部にさまざまな代謝障害が生じ, これらを消去するのに必要なDnaKを欠除しているためにこのような異常が生じたのではないかと思われた。DnaKタンパク質の分子的機能に関しては, 類似のHsp70の研究成果から, 分子シヤペロンとしての役割が推定されている。