人文科学的視点からの環境論(1) : 今道友信『エコエティカ』に寄せて
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概要
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本論文は, 今道友信の『エコエティカ』を現代における人文科学的な環境論の一典型として読み解く試みである。今道の基本的な視点は, 20世紀における人間環境の激変が人間のあり方の変容をももたらしたと見るもので, 環境の変容に応じて生じた倫理の空洞化に対して倫理学の再構築を試みようとするものである。今道の見るところ, 20世紀において人間環境が激変したのは, 自然環境に加えて科学技術の所産としての技術連関が人間環境の重要な構成契機として登場したためである。技術連関が主要な環境となったことによって人間は倫理意識なき技能動物と化しつつあるのではないか。それゆえに, 人間が現に住まう場所(オイコス)の変容を見据えた新たな倫理学, すなわちエコエティカが要請されているのではないか。このような問題意識にしたがって今道は人間のエコロジカルな変容の諸相を分析しているが, 本論文は, その分析を辿りながら人間のあり方に焦点を当てた人文科学的な環境論の基本的な構えを浮かび上がらせようとするものである。
- 川村学園女子大学の論文
- 2001-03-15
著者
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