高齢者の生活動作能力と日常着及び寝衣の関係に関する一考察 : ホーム入所老人と在宅老人の比較を中心に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
今回は,老人の健康状態や生活動作能力の実態の把握と,日常着,および寝衣について,老人がどのような衣服を着用しているかを調査することにした。この結果,日常着については,洋服の着用がホーム老人で88.9%,在宅老人で94.3%と圧倒的に多く,両者ともIADLのスコアの比較的高い人が多いため,活動的な衣服が望まれたものと思われる。さらに寝衣については,日本式長着,パジャマの利用が特に多かった。なお寝衣の材質については,重要な課題の一つである。特に皮膚がもろくなってきた高齢者,および新陳代謝の活性度が低下した高齢者には,どのような素材が適切か否かは,重要な問題である。ことに吸湿性,保温性,通気性などの検討は,壮年者以上に重要な課題と思われる。また寝衣で困っている点については,サイズが合わない,着脱しにくい,洗濯しても乾きが悪い,価格が高い,縫い目が破れやすい,ゴムやひもの部分がすれるなどが答えられており,改善の必要性が考えられた。高齢時においては,より美的で個性的な被服生活は,その人の生き甲斐にも通じている。若い時代の自然の美が失われてくる高齢時こそが重要と思われる。日常着や寝衣のちょっとしたアクセサリーなどの配意でも,生きる喜びにつなげる工夫が大切と考えられる。以上のごとく本小論では,健康状態や,生活動作能力の調査により,老人の実態を把握し,その状態に合った日常着,寝衣を考えてきたが,これらの結果を今後の衣服製作に役立てていきたいと思っている。なお,この調査研究にご協力下さった某市養護老人ホームの皆様にお礼を申し上げます。また研究の一部については,第42回日本家政学会,第6回日本健康科学学会において報告した。
- 和洋女子大学の論文
- 1991-03-31
著者
関連論文
- 現代の女子学生の色彩・形態の選択に関する一考察
- 正常体重者と肥満者との色彩,形態の選択に関する一考察 : 女子短大生のライフスタイルとの関連による分析
- 高齢者の生活動作能力と日常着及び寝衣の関係に関する一考察 : ホーム入所老人と在宅老人の比較を中心に
- ファウンデーションの姿勢への影響について