世界観の損失としての言語死 : アイヌ語復興への提言
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概要
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世界中で多くの少数民族の言語が絶滅の危機に瀕している現状は,現在使用されている言語の約90%が絶滅寸前であるという統計(東,1997)からも明らかである。本稿は言語死を言葉と文化との不可分の関係から考察するものである。言語を獲得するということはその言葉にはらまれる精神活動,精神文化を受け継ぐことであるという観点から,アイヌ語と日本語を例に言語が消滅するときに失われるのはその文法や語彙だけではなく,その言語によってのみ表現される独特の文化,もしくは世界観をも失ってしまうという見解を示す。さらに絶滅の危機に瀕しているのは概して少数民族の言語であり,少数民族の言語の復興,活性化には多数側の協力が不可欠であり多数側の沈黙は言語の絶滅を助長するものでしかないという議論を展開する。
- 北海道東海大学の論文