フィリピン,東部サマール島における考古学的予備調査
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概要
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オセアニア,特に西ミクロネシアの人々が海で遭難した際,しばしばフィリピンに漂着したことが,17世紀にフィリピン滞在中の宣教師たちによって記録されている。そのなかでも特に,1664年に東部サマール島へ漂着した30人のファイス島民の記録は,当時の彼らの文化を記録したものとして貴重であると同時に,それ以前にもこのような漂流を介したミクロネシア島民とフィリピンとの接触が存在した可能性を示している。ファイス島から出土したフィリピン起源と考えられる外来物資の存在も,そのような接触を示す証拠を提供している。フィリピンでは,オセアニアとの接触を視野においた考古学調査は,これまでほとんど行われてこなかった。とくに,漂着事例の多い東部サマール島の遺跡に関する情報はあまり存在しない。本稿は,このような状況にもとづいて計画された,東部サマール島で最初に行われた考古学的予備調査の報告である。沖合にうかぶ小さな島の地表に,土器片および陶器片が散在していることが観察され,少量が表採遺物として採集された。本調査によって,この島をはじめとする東サマールの海岸地域に,オープンサイトが存在する可能性が高いことを示した。なお,本稿は平成5年度文部省科学研究費補助金国際学術研究(課題番号 : 06041095)を受けて行った成果の一部である。
- 北海道東海大学の論文
著者
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印東 道子
国際文化学部国際文化学科比較文化専攻
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印東 道子
School of International Cultural Relations
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ディソン ユーセビオ
Archaeology Division, National Museum of the Philippines
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ディソン ユーセビオ
Archaeology Division National Museum Of The Philippines
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