日本とアメリカの言語行動 : 社会言語学的な視点からの再考
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概要
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日本文化とアメリカの文化は,様々な著作の中で言及され,比較され続けてきた。その際には,日本語とアメリカ英語の違いも同時に比較検討されてきた。言語学者や文化人類学者がいうように,人間は言語修得の過程の中で,自分の回りの世界を範疇化していくことをも修得していくのであるから,文化と言語が密接に結びついているということは至極当然のことである。本論は,日本語とアメリカ英語を,構造レベル,談話レベル,言語を用いないコミュニケーションの3レベルに大別して考察し,日本語とアメリカ英語の相違並びにその文化的背景を再考する。そして,フィリップス(1972)で提示された参加者の構造(participation structures)がどのように言語と文化の両方の特性に関わっているのか明らかにしようと試みる。今日,日本は欧米化してきていると言われ,また,アメリカでも一部に日本的な社会構造が尊ばれるという風潮があるといわれるが,言語,文化の根元にある参加者の構造は容易に変質しえない。本論では,アメリカ英語と比較して,日本語の中に最も顕著にあらわれてくる参加者の構造を「地位」と「所属」と捉え,その構造に基づいて論を進める。
- 北海道東海大学の論文