海外勤務 : 適格者は誰か?
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概要
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海外駐在員が現地プロジェクト半ばにして帰国を希望する,あるいは海外勤務経験者が帰国直後に離職を希望するという現象は,近年多くの多国籍企業が共通に経験している一種の「回避し難いコスト」である。本稿では,日本に進出している米国企業を主な事例として検討し,異質な海外の環境に適応し,そこで的確にビジネス上の判断を下し,帰国後は円滑に本国の会社社会へと再適応していくような海外勤務者を管理職者レベルにおいて選任する場合の諸問題について考察を加える。具体的には質問票調査,面接調査を実施し,異文化への適応性に影響を及ぼす諸要因を(1)海外駐在員個人の要因(長期的な目標設定を含めた心理的側面,生活史等),(2)当該駐在員の環境的要因(海外駐在期間等の制度的側面,配偶者等との家族関係)において考察した。以上の諸点の考察から,管理職経験は浅くとも私的な旅行をも含めて着任前に海外生活を体験していた者は,本国で管理職を歴任してきたような管理技術の熟練者と同等かそれ以上に海外勤務における成功をおさめ高い評価を得ていることが結論される。尚,本稿は平成4年度文部省科学研究費補助金奨励研究(A)「在日アメリカ人管理職者の異文化適応管理に関する基礎的研究」(課題番号04730055)による研究成果の一部である。
- 北海道東海大学の論文