キイロショウジョウバエの成虫体重に関する人為選抜及びその生存力に及ぼす影響
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概要
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体重に関する人為選抜がキイロショウジョウバエDrosophila melanogasterにおいて, 2つの反復系統において, それぞれ13および14世代行なわれた。選抜前の雌雄の平均体重はそれぞれ1.34mg, 0.87mgだったが, 体重の重い方向に選抜したHA系統では雌の体重が1.61mg, 雄の体重が1.08mgとなり, HB系統ではそれぞれ, 1.80mg, 1.25mgとなった。一方, 体重の軽い方向に選抜した結果は, HA系統の雌雄の体重は1.01mg, 0.72mgとなり, HB系統ではそれぞれ0.79mg, 0.51mgとなった。選抜結果は2つの反復系統でかなり異なり, 両方向ともにB系統における反応の方がA系統におけるそれよりかなり大きかった。また, 選抜に伴う相関反応として卵期から成虫に至る生存力が同時に調べられた。その結果, A, B両系統における生存力の世代に対する回帰直線は, Y=-0.03088X+0.9013となり統計的に有意であった。すなわち, 毎世代, 約3.1%程生存力が低下した。一方, 対照系統ではY=-0.0053X+0.8364となり回帰係数は0から有意には離れてはいなかった。以上の結果は, 体重を減少させる遺伝的変異はもちろんのこと, 体重を増大させる遺伝的変異も適応度を低下させる事を意味している。この事は自然集団では体重に関して安定化選択(stabilizing selection)が働いている事を強く示している。
- 2000-12-30
著者
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